「プレゼン=資料」の方程式を捨てよう

みなさんは、こんな言葉を口にしてしまうことはありませんか。

 

例えば、今度プレゼンテーションを行わなければならないとします。

忙しくてだんだん期日が迫ってきました。

そこで思わず、「あーどうしようまだ資料作ってない」とつぶやいてしまう。

 

あるいは、いつまでも忙しいなんて言っていられない。

いよいよプレゼンテーションの準備を始めようとしたその時、

まずパソコンでパワーポイントを立ち上げてとりあえず表紙だけでも作ろうとする。

 

いずれもビジネスで良く聞くフレーズ、頻繁に見かける光景です。

 

このような傾向がある人は危険信号です。

体の中に「プレゼン=資料」という方程式が染みついてしまっています。

プレゼンテーションの準備をすることは資料を作ることだという勘違いをしていて、

資料が完成すると「一通りの準備は完了、これなら何とか発表も乗り切れそうだ」

という錯覚を起こしてしまうのです。

 

さらに、この方程式の厄介なところは、

頭では大切なポイントを理解していても、

実際の取り組み方を誤った方向に向かわせてしまうことです。

つまり、論理的な話の込み立て方や効果的な練習方法、相手を惹きつける話し方など、

いろいろな知識を吸収しても、結局は用意してきた資料の読み上げ発表会のような

プレゼンテーションを行ってしまうのです。

 

私は、いろいろな場所でたくさんの人のプレゼンテーションを聴く機会があります。

そこでも基本的な知識は百も承知、それなのに資料に引っ張られてしまって

実践で上手く活かせないという人がとても多く見られます。

 

今から十年以上前であれば、パソコンといえばエクセルかワードが一般的で、

パワーポイントは比較的珍しく、作りこんだ図解スライドを使って

プレゼンテーションを行うことがごく一部の人に限られていました。

その当時は、「カラフルなヴィジュアル資料で相手を惹きつけよう」

「プレゼンの成功は資料作りがカギ」というキーワードが声高に叫ばれ、

パワーポイントの活用が積極的に薦められていました。

 

ところが、今は違います。

 

すでにパワーポイントが広く浸透していて、資料を活用することが

誰にとっても当たり前になっています。すると、

「何でもかんでも資料、資料」

「とりあえず資料を作りさえすれば何とかなる」

という依存傾向が強まっています。

 

しかし、資料は単なる道具です。

 

確かにあった方が分かりやすくなりますが、

本来は資料などなくてもプレゼンテーションは成立するものです。

今はそういう原点をもう一度見直す時期に来ていると、私は思います。

 

ですから、最初は絶対にパソコンの電源を入れないことです。

もちろん、パワーポイントも立ち上げません。

 

自分の頭とペンだけを使って

プレゼンテーションの結論や論点を紙に書き出していくようにしましょう。

そして、デジタルな作業とアナログな取り組みを明確に切り分けてください。

 

習慣的にパソコンの電源ボタンに手が伸びる気持ちをしっかり抑えてください。

これを徹底することによって「プレゼン=資料」という厄介な方程式を

捨てることができるようになります。

 

そして、最終的には「あーどうしようまだ資料作ってない」と言って

パワーポイントを立ち上げるのではなく、

「あーどうしようまだポイントを書き出していない」と言って

紙とペンを取り出す習慣を身につけるようにしてください。