ITシステムベンダーのための受注を勝ち取るプロポーザルプレゼンテーション

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IT業界のプレゼンは競合との闘い

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ITベンダーにとって新たなシステム案件を受注するためには、提案力、プレゼンテーション力は極めて重要な要素となります。行政案件はもちろん、民間案件でも複数のベンダーによる提案コンペが開催され、熾烈な競争が繰り広げられます。
しかも多くの場合、企業としての歴史や実績、技術力、人材力、サポート体制などあらゆる面においてほぼ横並びの状態であるため、いかに魅力的な提案として響かせ、競合他社との差別化を図るか、わずかな差がコンペの勝敗を分けることになるのです。システムの規模が大きければ大きいほど簡単に入れ替えることはできませんから、一度負けを喫してしまうと次の勝負は何年も先ということになってしまいます。
したがって、1本のプレゼンテーションをどのようにデザインし、いかに分かりやすく伝えるかという実践力が極めて重要になってくるのです。

ITシステムのプレゼンは情報量が多い

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そこで、ITシステム関するプレゼンの特徴をいくつか挙げてみたいと思います。
まずは、伝えるべき情報量が非常に多いという点があります。
具体的には、システムの全体像、ネットワーク構成、アプリケーションの各機能、接続機器、スケジュール、プロジェクトチームの担当者と経歴等々、あらかじめ依頼主より提示された要求仕様に応えながら様々な事柄を伝えなければなりません。それに伴い、スライド資料には多くの画像や図解を用いなければならないことになります。使用スペース、利用担当者、端末機器等について膨大な画像やイラストを貼り付けながら、さらに膨大な図形や矢印を用いて業務の流れに沿ってネットワークやシステムの構成、情報の流れを漏れなく表現することになります。
もちろん文字を使った説明も付けなければなりませんから、1枚のスライドの中にあらゆる情報がびっしりと詰め込まれることになります。

正確な情報伝達と分かりやすさのバランス

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これまで私は、複数のITベンダーさんに対してプレゼンテーション研修やコンサルティングを行ってきた中で、様々なプロポーザル案件に実際に触れてきました。そこで感じたことは、できる限り正確な情報を依頼主に伝えることも大切ですが、同時に分かりやすさも追求しなければならない点です。
当然のことですが、プレゼンの聴き手である依頼主はITシステムについては専門知識を持たない素人の場合がほとんどです。病院のシステムなら医療従事者、学校システムなら教職員、自治体システムなら一般の公務員です。中には情報システム室という部署があるかもしれませんが、担当者はわずか数名という場合がほとんどでしょう。
そうした状況の中で多くの画像や図解を用いて詳細な情報を伝えたところで聴き手にどこまで理解されているでしょうか。ベンダー自身が全てを正確に伝えきったと満足することと依頼主が提案に魅力と信頼を感じることは、果たしてイコールでしょうか。そのあたりを冷静且つ客観的に捉えていく必要があります。

本当に必要な情報と無くてもよい情報の選別

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そこで、作り上げたスライド、これまで作ってきたスライドをあらためて確認してみると良いでしょう。
限られたスペースの中に何とか盛り込もうとした結果、目を凝らさないと見えないほど小さく縮小された画面の写真、雰囲気だけでも伝わればとあえて貼り付けたイラスト、念のために付け加えた極小のスペック表、無数の矢印などはありませんでしょうか。
そして、それらの情報は本当に必要でしょうか。絶対に必要だと言い切れるならもっと大きくはっきりと見せなければなりませんし、そう言い切れないのなら思い切って割愛してみましょう。
そうすれば専門知識を持たない素人にも理解しやすいシンプルなプレゼンにまとまるはずです。ベンダーの担当者として情報を正確に伝える責任感も大切ですが、それ以上に依頼主に分かりやすく伝えることの方が重要な責任であると言えます。
そして、後者の責任を追及する方が高確率で受注にも結びつくはずです。

分業によるプロポーザルの構築

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プレゼンテーションが情報過多で複雑になってしまう原因として、情報整理やスライド作成が一人の主担当者に依存し過ぎていることが考えられます。
これまでプロポーザル案件のコンサルティングをしてきた中で主担当者がプレゼン資料を完成させるまで私を含め周囲の人全員が待ちの状態となり、レビューミーティングに取りかかれないという状況に何度も出くわしました。
確かに主担当者が顧客のあらゆる情報を把握しており、責任感を持って取り組もうとする意気込みは素晴らしいのですが、分業を進めることによってチーム全員に提案内容を共有できるはずです。
例えば、主担当者はスライドの要所のみスケッチを行ったら原稿作りと発表の練習に取り掛かり、作り込みは別の担当者に任せる。同時に、プレゼンを前半と後半に大きく分けてそれぞれでレビューを行うことで、周囲からのフィードバックを効果的に反映させることができるはずです。
現状ではそんなことはできないという声も聞こえてきそうですが、それが実現できるように取り組み方と体制を見直すことが本当の意味での改善に繋がるのではないでしょうか。