リーダーに必要な伝え方と姿勢

リーダーに必要な伝え方と姿勢

「あの人は分かってない」と思われる必要性

リーダーに必要な伝え方と姿勢

「俺たちのこと大して分かってないくせに勝手なことばかり言って・・・」
「私たちの大変な状況を理解しないで一方的な指示ばかりして・・・」

皆さんは、上司などのリーダーに対してこのように思ったり、あるいは一人になった時につい呟いてしまったりといった経験はありませんでしょうか。特に、役職が上に行けば行くほど上司は部下の一挙手一投足を把握しているわけではありませんから、無理難題とも言える指示や要求が出されることも少なくありません。その結果、部下からは「分かってない」「一方的だ」と思われることもまた少なくありません。しかし、部下からそう思われることは、時にリーダーにとっては必要な姿勢でもあるのです。リーダーになりたての人によくある失敗として、自分が部下だった時の不平、不満を抱かせたくないという思いから、部下の事情を十分に考慮した上で、それこそ一挙手一投足に至るまで細かく指示を出すことがあります。本人とすれば部下の事をよく考えている理想のリーダー像を目指しているのかもしれませんが、結果的に部下の間に緊張感が無くなったり、指示待ち人間が増えたりといったことが起きてしまいます。

しかし、組織のリーダーとして成果を出すためには、いつまでも部下と同じ目線を持って歩み寄ってばかりはいられないのです。その他大勢の中から一歩上に抜きん出た存在としては、目線も一歩上げる必要があるのです。もちろん部下に対して仕事の期限や成果目標を伝える場合には、分かりやすく丁寧に話をしなければなりません。ただし、具体的にどのような方法で期限内に仕事を完了させるか、どうやって要求された目標を達成するかは部下や後輩が考えるべきことであり、それが仕事だと割り切らなければなりません。
その結果として、部下や後輩からは、
「あの人は、俺たちのことがよく分かってない」
「あの人は、私たちの一つひとつのプロセスまで見ていない」
といった不平や不満の声が出てくるかもしれません。
しかし、上に立つリーダーは、それにいちいち狼狽えている場合ではありません。「もちろん私は君たちのこと全部は分かってないけど何か?」と言わんばかりに毅然とした態度で臨まなければならないのです。それが結果的には、部下の自主性や成長を引き出すことや組織としての成果目標を達成することにつながるのです。もちろん、高圧的、威圧的な言動で逆立ちしても実現不可能な目標を強制するような、いわゆるブラック上司なれということではありませんので、その点だけは注意してください。部下の不平や不満に対する心の耐性を鍛えることもリーダーには欠かせないのです。

「あの人はよく分からない」と思わせる演技力

リーダーに必要な伝え方と姿勢
「あの人は分かってない」という立場から物事を伝えていると、次第に部下や後輩の間に「あの人はよく分からない」という認識も生まれてきます。これも人の上に立つリーダーには、非常に大切な要素となります。

例えば、
「女子にはわりと寛容だけど男子にはもの凄く厳しい」
「営業出身だからか設計部や開発部の人たちを苦手にしているようだ」
「とにかく常務の目ばっかり気にしている」
といったようにリーダーの人となりや考え方が分かり過ぎてしまうと、リーダーが気に入るように、あるいはリーダーにとにかく怒られないようにと自分を必要以上にコントロールしだして、部下の言動に偏りが生まれてきます。
さらに、それが積み重なると
「あの人は疲れる」
「あのスタンスが気に入らない」
「あの人には付いていけない」
など部下はストレスや反感を抱きはじめるといった事態にもなりかねません。

それが原因で部下の統率が上手く取れなくなる管理職や、あるいは若い社員が定着せずに悩んでいる経営者をまま見かけます。実際に、そういう人からコミュニケーションに関する相談を受けたこともあります。特に、リーダーになりたての人は、部下とはお互いに腹を割って何でも言い合える関係性を築こうとするあまりに、自分を出し過ぎて、それがかえって部下を遠ざけることに陥ってしまうのです。ですから、部下に余計な負荷をかけずに、伸び伸びと自分らしく仕事をしてもらうためには、きるだけ無色透明、無味無臭の「よく分からないリーダー」になることも時には必要な戦略と言えます。

もちろん言うべき時には簡潔明快に言わなければなりませんし、人には性格タイプがあって固有の考え方を持っているのは自然なことです。しかし、部下に対してはキャラクター設定としてあえて「よく分からないリーダー」になりきる演技力も必要になるのです。これも言葉こそ使いませんが、部下に対する伝え方の一つと言えます。部下の何もかもを把握しようとせず、あまり一挙手一投足に対して細々と口を出し過ぎないことです。
また、怒りや焦りや緊張といった負の要素は、その人の持つ気質をストレートに表し、周囲の人もそれを敏感にキャッチします。ですから、ビシッと言うべき時以外は、常に冷静で飄々とした穏やかな状態でいることを心掛けましょう。指示やアドバイスの内容はしっかり伝わらなければなりませんが、リーダーの存在自体はよく分からないぐらいが丁度良いのです。

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