プレゼンテーションにおける具体例の重要性

「それって例えばどういうこと?」

これは、私がプレゼンの指導でいろいろな人にいつも言っているツッコミです。多くの人の話には、とにかく「例えば」がありません。だから、聴き手の頭の中にイメージが描けずに話が伝わらないことが少なくありません。ですから、まずはイメージを話すために「例えば」という一言を使うことから始めましょう。

例えば、何気ない日常の会話の中で「最近、とにかく忙しくて本当に大変!」という一節があったとします。誰でも口にしたことがあるフレーズでしょう。ほぼ毎日口にしているという人も多いかもしれません。忙しくて大変なことが伝わるので何も問題ないと思われるでしょうか。

しかし、ここで「例えば?何が大変なの?」とあえて問いかけてみるのです。
すると「例えば、お客さまからのクレームの電話が多くて、その都度仕事が中断されるのが大変!」という様子が導き出されてきます。さらに続けて「例えば?それってどんなクレームなの?」と問いかけます。すると「例えば、納品の数量ミスが多くて、取引先の倉庫係の人たちの仕事が進まなくてストレスが爆発している」とか「見積書の金額の記載ミスもあって机の上がウチの会社の書類で溢れているらしい」といった様子が導き出されてきます。
いかがでしょうか。

あなたがクレームの電話でいちいち仕事を中断させられているイメージ

取引先で倉庫係の人たちが顔を赤くして怒っているイメージ

取引先の担当者の机の上に書類が無造作に積み重なっているイメージ

「例えば」という言葉をたった2回使っただけで、絵が自然と描かれてくるようになります。たったそれだけ?と思われましたでしょうか。しかし、逆にたったこれだけのことなので、私たちはつい無意識のうちにやり過ごしてしまうのです。そして、物事がしっかり伝わらないことはもとより、何が原因で伝わっていないのかにすら気づけないのです。

具体例の力を日常から鍛える

今、例に挙げたのは「仕事が忙しくて大変!」というほんの一節だけですが、これが日々の様々な場面での会話となると、その伝え方の差はとても大きなものになってしまいます。

しかも、仕事の話でもプライベートの会話でも「それって例えばどういうこと?」「例えばどんな時に?」といったように、わざわざツッコミを入れてイメージを引き出してくれる親切な人は、あまり存在しないのです。ほとんどの場合、そのままやり過ごされてしまい、絵が見えるか見えないかに関係なく、話が流れていってしまうのです。そして、それが日常的に積み重なってしまうと、何となく無意識のうちに「いまいち話がよく分からない人」「何となく伝わらない人」と思われてしまうのです。

ですから、そうならないためにも、そして誰からもツッコまれなくても、「例えば」という一言を常に自分の中に用意しておいて自分自身でツッコミを入れながら、率先してイメージを描くことが大切なのです。そうしていくうちに、だんだんと慣れてきて無意識に自然と話せるようになってくれば、もはや「例えば」という言葉すら必要なくなってきます。それを目指して「例えば」を常に自問自答することから始めてみてください。
「例えば」に続く内容は、自分が見たり聞いたりした絵ですから、深く考え込むこともなくそのまま付け加えられるはずです。何も難しいことはありません。話を分かりやすくするということは、それほどまでに誰でもすぐに実践できる単純な工夫に過ぎないです。

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