相手によって使い分ける淡々型と情熱型スピーチ

プレゼンテーションのスピーチと言うと、

とかく熱意、勢い、大きなジェスチャーというキーワードがクローズアップされます。

 

もちろん、自信を持ってはっきりと話すことは大切ですが、

実際には聴き手のタイプ、その場の雰囲気に合わせて

強弱を柔軟に切り替える必要があります。

 

そこで、「淡々型スピーチ」と「情熱型スピーチ」という

2つのパターンを用意しておいて、適宜切り替えて話すことをご提案します。

 

まず、「淡々型スピーチ」とは、

立て板に水のごとくスラスラと、あまり抑揚を付けない直線的な話し方のことです。

ちょうどニュース番組のアナウンサーのような話し方のイメージです。

 

そして、「情熱型スピーチ」とは、

声のトーン、話すリズムに意識的に強めのアクセントを付けた話し方のことです。

そこに身振り手振りも合わせると熱意や勢いを全面に表すことができます。

こちらは、同じアナウンサーでも興奮気味に話すスポーツ実況のイメージです。

 

私は、数多くのプレゼンテーションの実践の場から

この2つのスピーチを使い分ける要領を覚えました。

私は、元々声が大きく、抑揚のある話し方です。

さらに、以前は、プレゼンテーションとは熱意と勢いで押し切るものだという

思い込みがありましたので、

どんな場所でも「情熱型スピーチ」一辺倒で話をしてしまう傾向がありました。

 

 

ところが、業種、職種、人の性格には、淡々としたタイプと熱いタイプがあります。

淡々としたタイプとは、業務上、普段からあまり喜怒哀楽を出すことがなく、

何事も事務的に処理を行う硬い雰囲気の中で仕事をしている人達です。

 

一方で、熱いタイプとは、その逆で普段から喜怒哀楽を表に出すことが多い環境の中で

仕事をしている人達です。

これは、どちらが良いとか悪いとかではなく、

現実にそういうタイプの人がいるのですから仕方がありません。

 

そうすると、熱いタイプの人達には、

情熱型スピーチのプレゼンテーションが喜ばれるのですが、

淡々としたタイプの人達には上手くマッチしません。

思わず目を丸くして驚かれてしまうことが、しばしばありました。

 

その場合、話が終わった後に何とも言えない微妙な沈黙が流れ、

私一人が空回りしている雰囲気に包まれてしまいます。

 

やはり、聴き手が主役、聴き手がいてこそのプレゼンテーションです。

私は、必ずしも熱意で押し切れば良いということではなく、

聴き手の波長に合わせてスピーチを柔軟に切り替える必要があることを学びました。

 

 

それから、聴き手が淡々としたタイプなのか、熱いタイプなのか、

話し始めてみなければ分からない場合は、両方を組み合わせて話をするのが効果的です。

最初は無難に「淡々型スピーチ」から入ります。

そして、所々に熱意を織り交ぜながら聴き手の様子を伺います。

それでも反応が薄く、表情が硬いままでしたら

そのまま最後まで淡々としたスピーチでフラットに通します。

 

一方で、話が進むにつれて徐々に聴き手の緊張がほぐれ、

頷きや表情の変化が見え始めたら途中で「情熱型スピーチ」に切り替えていきます。

すると、「とても聴きやすい説明だったし、しかも熱意もあったよね」

という印象を与えることが出来ます。

 

 

これは、パッと見の勘だけでは分かりません。

自分の先入観だけで判断してしまうと往々にして失敗します。

あくまでも様子を伺いながら聴き手を良く観察するようにします。

「今日の聴き手はこっちだ」と分かったら迷わずそれに合わせたタイプを選択します。

いつまでも決めかねていたり、自分とかみ合わない聴き手の態度にうろたえていたりすると

プレゼンテーションはあっという間に終わってしまいます。

そして、どこか不完全燃焼の気持ちだけが残ってしまいます。

ですから、あらかじめこの淡々型と情熱型の2つのスピーチを切り替えていくという

発想を持っていれば、そうした迷いを抱えることは無くなります。

 

ぜひ実践の場で取り入れていただきたいと思います。

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